↑捨てられて回収された膨大な古着のイメージ。
「なぜ リサイクルなのか?」
幾度となく我々は自問自答してきたワードである。
「なぜ?」
洋服は世界規模で大量生産、大量廃棄の潮流は相変わらずで、洋服の原料はコットンが中心である。Tシャツを見て欲しい。スポーツやアウトドアなどの特化したウエアを除き、普段に着るTシャツのほとんどはコットン製品でしょう。もちろん最近ではそのスポーツ的な機能を普段に着る流れもある。機能的で便利であるが、昔ながらのコットンの気持ち良さに馴染んでいるから、ここまで支持されているのだろう。
しかし、この日本ではコットン原料は多くを輸入に頼っています。
原料だけではなく洋服そのものも90%以上は輸入に頼っているのです。
僕らは値段が安い方がいいわけで、どんどん安いものを探しながら、購入している。「安い」から。多くの人々は「値段の価値」により、洋服を選択し、買い方も工夫してきた。新しい買い方も増えてきた。その上で、自分自身の価値観を上乗せしながら選択しているわけです。トレンドだったり、好みだったり、ライフスタイルに合わせたり。
さてこの日本で洋服を買うという行為で、現代においてどれだけ心が満たされ、幸せになり、生活が豊かになっているだろうか?
コットンを多量に作り、安価な労働力を求め、作っては捨てるサイクルにどれだけ幸せを見いだせるのであろうか? 僕らは。
面白い調査があります。
プリンストン大学の調査により、世帯年収が7万5000ドル(約631万円)以下の人では収入と「喜び」や「満足感」といった感情は比例するのに対し、7万5000ドルを超えると「稼げば稼ぐほどハッピーになれる」というわけではなくなってしまうことが明らかになりました。
置き換えれば、買えば買うほどハッピーになるか?
我々は買う事に束縛され、所有欲により自由をなくしてないですか?
こんな事言うと、会社に属する人間の中では上司や経営者から お前アホか? と怒鳴られそうだが。買えば買うほど売上も上がる。買った人も満足する。給料も上がる。それで満足する? どうかな? 本当にそうかな?
こういう経験した事ないですか? セール時期に セールに行かないとなんか乗り遅れた感じで、焦っていくんだけど、買った商品は結局着なかったって事。
洋服の業界全体が、消費者にチョイスの幅を狭くして、あおっている。
でも今の世の中そんなにバカじゃないから、みんな気がつき始めているわけです。
そんな中で、コットンのリサイクルをこの日本で行う。もっと言えば、このシステムを確立して、各国でそのシステムを川下から川上まで完結させる。ローカリゼーションのシステムを取り入れる。という青写真。
捨てられた洋服を新たなエネルギーとして生まれ変わらせ、また新たなエネルギーとして生かしていく。今 流行りつつある言葉でいうと「サーキュラーエコノミー」というらしいが、経済を軸とした関係性というだけではなく、人が、ユーザーが洋服を買う(買うという行為もなくなる時代かもしれないが)という行為に「自分が幸せになるための選択肢」の幅を増やしたいだけなんです。
ファストは無くならないし、あっていいと思う。
でもそれ以外にもっと「心を満たす」選択があっていいのではないでしょうか? どうでしょうか?
着やすいのはもちろん。長く着られるのももちろん。でもそれが出来上がるまでの工程も選択する人にジャッジしてもらう。「買う」のではなく「自分のために選択」してもらう。選択肢はたくさんあった方が民主的だし自由だ。
だから我々は究極にシンプルでミニマルな製造過程により、人々のシンプルでミニマルに暮らす事を提案して、それにより自然環境を守り、人々の幸せと自由な選択肢を提案したいのです。
さらに理屈ではなく、僕ら作り手からすると、新しいリサイクルシステムを完成させることは、(新しい洋服における選択肢を作ること)それはそれは、単純に楽しい。ワクワクする。理屈ではなく。そんなワクワクする夢のような話をみんなと共感できたら本当に素敵な事ではないでしょうか?
僕らはモノを作っていますが、もっと言えばその先の夢をみなさんと作っています。そういうのが楽しくてしょうがないんです。
そして私たちは新しい価値観を選択することで、幸せにならないといけません。人生を豊かに過ごさないといけないのです。そのための選択肢は人それぞれ違います。ただ共通なのはこの地球という惑星を常に健全にしないと我々は生きていけなくなる。という事です。もう限界に来てませんか?作る事も。
ここからはあの世界一貧しい大統領で有名な元ウルグアイ大統領 ホセ・ムヒカ氏の文献から。
「残念ながら私たちは、働いて使い捨てる文明を持ってしまった。
そんな文明では物は作れない。新しいものをたくさん売らないといないからね。
こうして環境を破壊していくんだ。
しまいには、いくらあっても足りなくなる。そして際限なく働かないといけない。人は、なんのために生まれてきたんだと思う?
いや、難しい事を言っているんじゃないんだ。
働くため? 発展するため?
人生は短く、あっという間だ。余計な物を消費するために働いて、そのために時間が逃げて行ったとしたら、それは幸せ何だろうか?
働く事は必要だ。働かない者は、働く人に負担をかけるし、仕事は希望でもある。
でも、いろんな物を買い込んで、支払うために働くことに人生を費やすなんて、どうにかしている。物やお金を貯める代わりに、生きるために時間を使うことだ。
私がシンプルでいるのは、その方が自由だから。自由とは、自分のための時間なんだ。」
Aug 16, 2019 | Category:news