T シャツは20 世紀を代表するカジュアルウェアで、今では誰もが着用しているベーシックアイテムです。
T シャツに使われるメリヤス生地(天竺組織で編み上げたもの)は伸縮性があるため、布帛シャツのように
複雑なカーブ設計や細かな寸法調整をしなくても、十分な着心地を提供できるため、大量生産するのに適していました。
アメリカ生まれのT シャツはシンプルなデザインと効率的な作り方が特徴で、
今でもアメリカ市場のTシャツは、丸胴のボディの生地を編んで、首と袖部分を金型でカットしていく方法が一般的。
そんな大量生産の象徴ともいえるT シャツにさえ、tennenは細部までこだわりを持って作り上げています。
2023 年の「天撚T シャツ / 和紙」を皮切りに、私たちはあらためてtennenが考える究極のベーシックTシャツを
提案しようと「天撚T シャツ」というシリーズの展開を始めました。
2024年9月現在、メリノウール、GIZAコットン、ヘンプと合わせて、4 種類のTシャツをラインナップしています。
それぞれ素材を吟味したもので、どれも生地づくりからtennenのオリジナル。
天撚Tシャツにはそれぞれ最高グレードの天然素材が使われていることもあり、
上品な見た目と快適な着心地を両立できるよう、パターンも刷新しました。
tennenのTシャツは従来の大量生産品としてのT シャツとは異なり、
一点一点にこだわりを詰め込んだプレタポルテ的なモノづくりをしています。
パターンメイキングには布帛シャツのようなテーラリング技術を取り入れ、
カッティングで立体感のあるシルエットを生み出すことで、着心地と動きやすさを追求しています。
天撚T シャツは丸首のシンプルな形のT シャツであるものの、人間の身体の丸みや動きに沿うような、
テーラリングの考えを用いたパターンメイキングをおこなっています。
通常ジャケットなどであれば、パターンメイキングにプラスして芯地を入れたりしながら立体的な形を作り上げますが、
Tシャツの場合は薄い天竺の一枚仕立て。それをパターンの力だけで、人間が着たときにすっきり美しく見えて、
動きやすい、立体的なT シャツに仕立てあげました。
特筆すべき点は、身体の構造に考慮して胸幅と背幅で差寸をつけたこと。これによって立体構造を形成し、
スタイリッシュなシルエットを実現。着用した際にもシワができにくく、すっきりとした見た目を作り出します。
身体にフィットしながらも、トレンドに左右されない程よいゆとりを持ち、長く着用できる一枚に仕上がっています。
人間の身体を横からみると肩は前側に少し振れていて、しかも人間が作業する際は腕を身体の前側で使うことが多いものです。
そのため平面的なパターンだと袖付の前側の身頃にシワが寄ってしまうのですが、天撚T シャツは型紙によってその問題を解消しています。
また、アームホールの下半分、脇に当たる部分をカマと呼ぶのですが、アームホールの頂点とカマ底を結ぶカーブは前後で
寸法をわずかに変えていることで、すっきりとした見た目と、よりストレスのない着用感を作り出しました。
ちなみに製造時に糸切れが起こりにくくて安価なポリエステルの縫製糸を使うのが一般的ですが、
tennenの縫製糸は綿100%。信頼できる日本の工場に縫製をお願いし、糸切れが起こらないよう丁寧に製品を作っていただいています。
また、GIZAコットンを使用したモデルは、60番の細い糸を引き揃え、その後さらに2 本を撚り合わせた、
これまでに誰もやったことのないような上質な糸を使用しているので、アメリカのヘビーウェイトTシャツとは異なる、
しなやかで上品な風合いを持っています。
その他にも、天撚T シャツはそれぞれの素材の特徴を活かして着心地を追究することで、
マチュアな人たちにシックリくる、上質な天然素材のT シャツに仕上げています。
これまで様々な洋服を着てきた方にこそ手にして欲しい一着です。