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「食」という視点からみるヘンプ | HEMP CAFE TOKYOが考える、健康と環境に良い食事

ヘンプを衣服という面からアプローチをしているtennenですが、ヘンプの魅力はそれだけではありません。その活用法は25,000もあると言われていますが、今回は衣服と並んで身近な存在である「食品」としてのヘンプをフィーチャー。恵比寿で店を構えている「ヘンプカフェトーキョー」にお邪魔し、オーナーシェフの宮内さんにヘンプの魅力を教えていただきました。

ヘンプを使ったヘルシーな料理が食べられる、カジュアルなカフェ。

今回お話を伺ったオーナーシェフの宮内達也さん。着用しているシャツは、ロサンゼルスの知り合いがオーダーメイドで作っているヘンプ素材のシャツだそう。

ーー「ヘンプ料理専門店」を始めた経緯を理由を教えてください。

 もともとはヴィーガン料理カフェの構想を練っていて、コンセプトとして「食」と「環境」を掲げていたのですが、そのうちにヘンプの魅力にも気がつき。コンセプトにもぴったりハマったのでヘンプを全面に打ち出したカフェを始めたんです。

 それに、2017年当時は日本でヘンプをメインにしているお店っていうのも殆どなかったこともあり、競争を避けてられるかなという邪な想いも少しありました(笑)。しかし、何と言っても、ヘンプシードは日本人に必要な栄養素がたくさん含まれているスーパーフード。タンパク質、鉄分、亜鉛、食物繊維などが豊富な、パーフェクトマルチビタミンなんです。料理人としてヘンプを知れば知るほど、しっかりと料理として提案したいと思ったのが本当の理由ですね。

 ヘンプカフェトーキョーの料理は、ヘンプシード、ヘンプシードオイル、ヘンププロテインなど、何かしらのヘンプ食材が取り入れられているのが特徴。ヘンプ料理に挑戦したことのない人でも気軽に味わっていただき、その魅力に気がつくキッカケを作れればと思っています。

ーーお店で提供しているのは、動物性食品を使用していないヴィーガン料理だけなんですね?

 僕の料理人としてのスタートはフレンチだったんですが、食に気を使っているうちに、あるお店でヴィーガン料理に出会うことになったんです。その店というのは恵比寿にあった「レインボー・ローフード」というカフェレストランで、現在ヘンプカフェトーキョーがある場所で営業をしていました。

 その店のオーナーは、僕のヴィーガン料理の師匠になるのですが、彼はハワイやサンフランシスコに住んでいたこともあり海外事情にも詳しく、早い段階でヴィーガン料理を提供していたんです。

 僕は今30歳なんですが、ヴィーガンに触れたのは24の時。それまでは裸足で歩いているような超自然派の人や、パーマカルチャーの人が食べているものというイメージだったのですが、意外と一般的なものだとその時に知ったんですね。それに、ヴィーガンじゃない人がビジネスとしてそういう場を作る時代が来ている事も師匠から教わりました。

 実際に僕はお肉や卵、乳製品も食べますが、みんなが健康的で美味しい料理を楽しめる場になったらいいなと思って、僕はこの店を続けているんです。

ボリュームもあって大満足。食欲を満たしてくれるヴィーガン料理。

特製ソイミート、ヴィーガンのチーズやマヨネーズなどを使用した石焼ビビンバ1480円。ヘンプシードも散りばめられている。

 全体的にヴィーガン料理っていうとヘルシーで少量というイメージがあると思いますが、うちではハンバーガーやブリトー、ビビンバなどが看板メニューです。ボリューム感があって、ヴィーガンじゃない人たちも楽しめるような料理が多いんですよね。

 この店を始めるときに、ロサンゼルスのヴィーガンレストランを回ったのですが、向こうのヴィーガン料理は味もリッチで、ボリューミーなものも多かったんです。その時の経験もメニューに反映されています。

店内はサーフなイメージ。テラス席もあり、開放的な印象を受けます。

 ヴィーガン料理を食べる人の理由は様々です。例えば健康志向であったり、環境問題でお肉を食べないという考えをお持ちだったり、宗教やライフスタイルであったり……。いずれにせよ、そこには意思があってのことなので、やっぱり美味しくないと続けるのが大変なんですね。だから誰でも満足できる料理を作るということは常に心がけています。

ーー健康と環境に根ざしたヴィーガン料理。日本でもニーズはあるんですか?

 今はそれほどでもないですが、消費者ニーズとしては今から5年もすればかなり高まってくると思います。今でさえ代替肉のCMがテレビで流れていますし、大手がヴィーガンに参入していくのも時間の問題で、ファミレスでもビーガンメニューがあるのが普通になると思いますよ。

 海外では植物原料のステーキも出来ていて、そこにもお金が集まってきているので、必然的に大きくなっていくでしょう。将来はお肉よりビーガン食の消費が多くなる時代がくるとも言われてますし。その点では味というのが一番のハードルなのですが、料理人の腕やテクノロジーでカバーできてしまうので、時間の問題という気もします。

ーー来店されるお客様はどのような方が多いですか?

 オープンからしばらくは、インバウンドの方や日本在住の外国人の方が多かったですね。ですが最近は日本人の若い方が多くご来店されます。比率でいうと女性が6割強ですかね。普通のビーガンのお店と比べたら男性客は多い方だと思います。

 女性はヴィーガンというのに引っかかってくる方が多く、CBDとかヘンプに興味があって来られるのは男性が多い印象ですね。お客様を見ていると、昔よりかなりヘンプやヴィーガンに対する理解が進んできたように思います。それに、Z世代の若者たちの中には環境意識を持っている方も多いように感じています。

ーーヘンプに関して偏見などは感じることはありますか。

 店を始めた4年前とかは特に、ヘンプはまだ一般的には怪しい印象があったと思います。お店のロゴとかも葉っぱのシェイプが前面に出ていたりするので、地元で「アイツ、大麻の仕事をしているらしいよ」という変な噂が流れましたし(笑)。それに、今では問題なくなりましたが、ちょっと前まで大手のグルメサイトでは「ヘンプ」というのがNGだったようで、うちの店を掲載してもらえなかったんですよ(笑)。

 お客さんの中には、未だに海外のヒップホップカルチャーの大麻(マリファナ)とヘンプを同じような感じに捉えている方もいらっしゃいますが、僕的にはどちらにせよヘンプを知るきっかけになるのだから、それはそれで良い事だと思っていて。とにかくヘンプやお店に興味を持っていただいて、ご来店いただけるのは嬉しいことだと思っています。

ーー最近は日本でもヘンプが盛り上がっていますが、実感することはありますか?

 ここ1、2年ぐらいで都内でも飲食店やCBD関連のお店が増えて来た感じがします。コロナ前からそういう流れがあったのですが、実際にブランドも立ち上がったり、CBDで興味を持つ人が増えた印象は受けます。

 昔はCBDオイルって言っても誰もわからなかったですが、今では女性誌などでも取り上げられて一般的にも浸透してきた感があり。うちのカフェでも1年半ほど前から物販スペースを広げたこともあって、お客さんがお土産感覚で買ってくださっています。

 うちで取り扱っているのはオーガニックのものだけで、CBDグミなんかも動物性の脂肪が入っていないもの。そして、何かあったらちゃんと話ができる、信用できる知り合いのメーカーのものだけで展開しています。ブランドのバリエーションは絞っていますがバラエティは豊富で、食べ物だとヘンプシードやヘンプシードオイル。CBDではオイルにバーム、グミやキャンディ。珍しいものだとペット用のCBDも販売しています。

物販スペースでは、CBDやヘンプ食品を購入しやすい価格帯から展開していました。

 ちなみに、これも誤解されている方が多いのですが、CBDは摂取したからといってすぐにリラックスできるものではありません。どちらかというとCBDってサプリメントのように捉えた方がよくて、一回使ったからどうなるという感じではないんです。

 例えば味噌などの発酵食品も体に良いですが、それらも食べたからすぐどうにかなるというわけではないですよね。CBDも同じで、使い続けて体が正常化していくものなのですが、どうしてもそこにも薬物のイメージが残っていて、勘違いされている気がします。

獣医監修下で開発されたペット用CBD「BAILEY’S」も販売中。

ーー最後に日本でのヘンプの扱われ方は、今後どうなっていくと思いますか?

 CBDがめちゃくちゃ流行る。……という事はないかも知れませんが、時代の流れとして健康とか環境というのの需要が高まっていくのは間違いないですよね。ヘンプに関しては健康を考えた食品として今後さらに定着すると思います。

 法律でまた大きく変わってくるのでしょうが、海外では薬用型大麻の使用だけでなく産業用大麻の栽培の合法化も進んでいるので、日本にも少なからず影響が出てくるはずです。

 一般的に日本で大麻といえば、芸能人の誰が逮捕されたというニュースを聞くのが唯一の接点。あまりテレビがCBDやヘンプを好意的に取り上げているのを見たことがありません。しかし今はSNSやメディアが多様化して、自分から知識を得られる時代です。中にはフェイクの情報もありますが、これからの時代はヘンプの偏見がなくなっていって、その魅力が知られていくと良いですね。

ーーインタビューにご協力いただきありがとうございました。

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 今後の人間の食文化のスタンダードになるかもしれない、ヴィーガン料理やヘンプ料理。モノとしては原始的なものですが、これが今の最先端。皆さんもヘンプカフェトーキョーで、美味しくて新しいヘンプ料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?