tennen

自然分解

Natural decomposition

大量消費と化学繊維が生み出す、アパレル業界の課題

末長くファッションを楽しむために

tennenのコンセプトのひとつ目は、ちょっと聞き慣れない「自然分解」という言葉。
つまり、洋服として役目を終えて捨てられたあとも、自然界に残留せずに100%土に還る服作りを指しています。
そう一番に思う理由は、私たちが身を置いているアパレル業界が、大量生産大量消費がスタンダードになっていることに憤りを覚えているからです。
ファッション業界は石油産業に続く環境汚染産業として、不名誉な地位を獲得し続けているんです。

地球温暖化の影響による異常気象は、私たちの知らない世界で起こっているのではなくもはや身近な問題。
その改善にむけて、世界中の多くの人たちや企業は新しい行動を起こしています。
そして多くのアパレルメーカーも一丸となって環境配慮の素材を使ってモノづくりをしていますが、総数としてはまだまだ化学繊維に頼っているところが多いのが現状です。

衣料品・繊維製品に使われる化学繊維の割合

世界で生産される全繊維のうち、7割強を化学繊維が占めており、残りの約3割弱が天然繊維となっています。もちろん、アウトドアなど過酷な環境下で身を守ってくれるナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、今や世の中に必要なもの。しかし、石油由来の化学繊維は数百年単位で自然に還ることができません。

海洋プラごみ

加工しやすく、大量生産が可能なプラスチックが表舞台に上がって100年以上。その間にプラスチックをはじめとした石油由来のゴミが大量に埋め立てられたり、焼却されたりしてきましたが、それらの多くはいまだ自然に分解されることなく残留。その一部は川や海に流れ、海洋プラスチックとして海を汚染しています。

それらのゴミは生態系を含めた海洋環境の悪化や海岸機能の低下に影響を及ぼしていますが、そのゴミの総量は2050年には海に住む魚の重量よりも重くなるというデータも示されています。

石油資源も有限だといわれているなか、私たちはこのままの自然を汚染し続けて、地球から資源を搾取し続けて良いのでしょうか?

自然分解100%の洋服は本当に少ない

私たちは、人間も自然の一部だと身をもって感じているから、
これからの服づくりはできる限り自然と相性のいい素材だけを使っていきたいと考えました。
だから、tennenの服は天然素材。生地も、ボタンも、ネームも、縫い糸さえも。
制約をつけることで、コットンやウールなど、生物の進化の奇跡ともいえる機能的特長を存分に引き出した、
肌触り、着心地ともに申し分ない素材が生まれてきています。

そして、石油由来の合繊が生まれる以前の、長きに渡って重宝されてきた天然素材の過去の技術を単に振り返るのではなく、
現代の日本の技術と発想、クリエイティビティで、気持ち良く丈夫な服を新たにつくり出していこう。
そんなチャレンジ精神もtennenの服には宿っています。

衣料品製造をこれ以上しないという選択肢があるなかで、私たちが選んだのは、環境負荷のかからない、自然に還る服を作ること。私たちの第一歩目のチャレンジが自然分解100%の服づくりです。

天然素材100%の衣料品、Tシャツの品質表示タグにコットン100%と書いてあっても、実はそのタグは大抵の場合はポリエステル製で、縫い糸も化学繊維ということも多いのです。また、Yシャツではボタンや襟や袖に入れられる芯地類、ジャケットなどに用いられるファスナーなども自然に還らず、リサイクルをする際の障壁になってしまいます。

こうしてみると、洋服って意外と自然分解しにくく、リサイクルするのも非常に難しいほど、いろいろな品質で構成されています。そのような点からも、世界中の洋服のなかで自然分解100%(ここでは天然繊維100%と定義しています)の商品は大変稀な存在なんです。

プラスチックの海洋問題が世界中で話題のなか、洋服の作り方を抜本的に見直し、新たな考えでチャレンジしていく。そんなキレイ事を真面目に形にしていくのがtennenの使命。まだまだ小さなブランドですが、みんなで気持ちいい社会や環境を作っていきましょう。