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tennenが伝授! みんなに知ってほしいヘンプの話 前編

「私たちがヘンプで洋服を作る理由」

盛んに取り組んできていましたが、意外と『特集/MAGAZINE』で語られてこなかったヘンプ素材のこと。 現在準備中のtennenのブランドブックを製作する過程で、専門家に貴重なお話をしていただいたことをきっかけに、今回改めてヘンプの関わり方を記事にしました。 知らないと恥をかいてしまうかもしれない、ヘンプや大麻の超基礎知識をご覧あれ。

環境にもやさしい、超サスティナブルな素材!

 アウトドアなど過酷な環境下で身を守ってくれる、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は世の中に必要なもの。しかし石油由来の化学繊維は数百年単位で自然に還りません。
 もちろん化学繊維のリサイクルは進んでいますが、リサイクルされているのはほんのわずかな量。そのためtennenは自然分解できる天然繊維だけを使っているのですが、全ての天然繊維が環境に良いかというと、そうともいい切れません。

 世界で流通するコットン素材の99%が慣例農法によるコットンだといわれていますが、その栽培には大量の化学肥料と農薬、水が使われていて、働く人々の健康被害や農地と生活用水汚染に繋がっています。tennenで使っているコットンは、環境へ与えるインパクトが小さいオーガニックコットン。しかし、オーガニックコットンにはより適正な生育環境が必要で、世界中のコットン素材をすべてオーガニックに切り替えることは難しそうです。

 そこで目をつけたのはヘンプ(大麻)素材。ヘンプは害虫や病気も少なく、痩せた土地でも育つので、農薬や肥料をほとんど必要としません。また、作付け面積が狭くて生育も早いことから、効率よく収穫できる植物として世界中で見直されています。

 日本でも古くから育てられてきたヘンプですが、私たちが改めて惹かれているのは、素材としての機能の高さです。ヘンプ繊維は中心がストロー状の空洞で、繊維表面に無数の小さな孔がある多孔構造。肌の湿気や汗を吸い上げて熱と共に空気中に発散してくれるため、吸水速乾性があり、なおかつ防臭抗菌効果も発揮してくれます。

ところで、ヘンプとマリファナの区別がついてますか?

 さて、ここからが実は本題で、皆さんご理解いただきたい知識だったりします。今の日本において「大麻」といえば、ほとんどの人が「摂取するとハイになる植物」という認識だと思います。しかし、それは半分正しいですが間違った知識。皆さんが思っている、ハイになる植物というのは、大麻の中でもマリファナと呼ばれる分類のものだけなんです。

 簡単に説明すると、大麻(英語ではカナビス・サティバ・エル)という植物の中で、向精神作用のある種がマリファナ。向精神作用がなく、産業用にも利用されている種をヘンプと呼びます。実は大麻は2つの種類に大別されるんですね。

 繊維としてはもちろん、穀物として麻の実や食物油などの食用、住宅建材などの工業製品原料などに利用されているヘンプ(一般的に「産業用ヘンプ」と呼ばれています)。その定義は、各国の法律や規制によって若干異なるものの、欧米ではTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)含量が0.3%以下であり、CBD(カンナビジオール)含量が高い、産業用に特別に栽培されている種の大麻。一方で「マリファナ」は、THC含量が0.3%より多い大麻のことで、陶酔作用があり、医療用としても利用される種の大麻のことです。

 CBDオイルの人気などからヘンプに理解が進んできた昨今においても、まだまだ誤った認識をされているのは、日本の大麻取締法に理由があるかもしれません。なぜなら、この法律内では大麻のTHC含有量での「マリファナ」「ヘンプ」の区別はされておらず、それらを一緒くたに「大麻」と呼んで規制しているからです。

 昔から大麻という植物は日本の暮らしと共にありましたが、現代日本では馴染みがありません。なので、積極的に大麻の事を気にかける人が少なく、知識が浸透されていないのは仕方のないことだと思います。

 しかし、それもここまで。tennenではヘンプの服を毎シーズン展開していますが、回を重ねるごとに注目度が上がっていることを感じています。皆さんの反響を見ている限り、向こう数年でヘンプへの偏見がなくなり、大麻という植物についてのフラットで正しい知識が浸透していきそうです。

tennenの服づくりとヘンプ

 tennenでは、これまでにヘンプ100%のTシャツやヘンプ×メリノウールのTシャツ、パーカーなどをリリース。ヘンプを使った洋服の良さを幅広く知っていただきたく、クラウドファンディングの「Makuake」にて発表してきました。

 日本では織物でヘンプが用いられてきましたが、私たちが積極に取り組んでいるのは編み物。日本で大麻が使われていた時代の技術では成し得なかった、優れた紡績方法やニッティング技術を駆使することで、肌触り滑らかで伸縮性のある生地が作れるようになりました。

 より詳しいヘンプの機能や想いについては長くなってしまうので各製品のプロジェクトをご覧いただければと思いますが、前編の最後に、どこでも語ってこなかった、ヘンプの仕入れ元についてお話します。

 100%自然分解、メイドインジャパンを目標に掲げているtennenは、出来れば原料まで日本のものを使えればと考えています。しかし日本では綿花やヘンプの栽培は盛んではなく、海外で生産された素材を使わざるを得ません。

 それでも出来ることはないものかと、tennenでは茨城でコットン畑を始めて、製品の一部に利用しています。しかしヘンプに関しては、大麻植物全般の所有や栽培、譲渡が法律によって厳しく取り締まられており、産業に利用するヘンプであっても大麻取扱者免許の新規取得は大変難しいとされています。

 そのためtennenが使っているヘンプ素材は、最も優れたヘンプの生産地であり、紡績技術も工業化されている中国の繊維工場から糸の状態で仕入れています。日本が同じクオリティでヘンプの繊維を作れる日は来るのでしょうか……。

 後編では、「日本の営みを支えてきた植物としての大麻」の専門家、大麻博物館の館長さんにインタビュー。なぜ日本でヘンプの生産が出来ないのかなど、気になる質問をぶつけてみました。

後編へ続く!