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コットンの種取りはメディテーション?

ワークショップを通して育む、循環の輪

久しぶりに賑わいを見せた今年のゴールデンウィーク。各種イベントも本格的に復活して、人の交流も以前のように戻ってきたようです。

私たちtennenも、この5月に鎌倉で開かれた「マインドフル・モーニングアウト・鎌倉」に参加し、久しぶりにワークショップ開催。みなさんとコミュニケーションをしながら、環境に優しい服作りについて考えました。

tennenの洋服についてくるコットンの種

まずはイベントのお話の前に、少しコットンの種についておさらいです!

tennenのウェアをご購入いただいた方や、以前投稿した「コットンの育て方」の記事をご覧になった方はご存じかと思いますが、私たちが作ったウェアを販売する際は、その全てにコットンの種を入れた下げ札をつけています。

これらの種は、実は私たちが育てたコットンの種。tennenというブランドをはじめて以来、私たちは小さな規模ですが毎年綿花を育てていて、収穫した綿花を製品の一部に使い、収穫した種の一部をこの下げ札に入れたり、翌年の種まきに使用しています。

オーガニックコットン栽培は簡単なようでいて、実はちょっと手間がかかるもの。下げ札に種を入れているのは、tennenをお買い上げいただいたのをきっかけにコットン栽培に挑戦していただき、普段着ている服の原点に思いを馳せていただければと思ったからでした。

種取りはメディテーション?

そんなコットンの種に改めてフォーカスする機会を与えてくれたのが、鎌倉で開催された「マインドフル・モーニングアウト・鎌倉」というイベントでした。

この催しは、自然と歴史の豊かな鎌倉で、ビーチクリーンやビーチヨガ、Zenイーティングに坐禅体験、環境活動に熱心な団体のワークショップを通し、サステナビリティやウェルビーイングを日常に取り入れて頂くきっかけを作るイベントです。

今年初開催のイベントで、私たちtennenチームも久しぶりのワークショップ。正直手探りではあったのですが、コットンを種を撒くなら5月が最適!ということで、コットンボールから種を取り出してもらうという超単純な作業を体験していただきました。

コットンの収穫時期である秋は、毎年水戸の畑で収穫した綿花を会社に持ち込んで、社員総出で種取りをするのが我が社の恒例行事。青山のオフィスでみんなが無心になってワタから種を取り出しているのですが、「この単純作業が日々の業務から解放される癒しの時間」という社員もいたので、種取りはメディテーションだ! と言い切ることにしたのです(笑)。

そんなこんなで決定したtennenのワークショップ。会場は鎌倉市大町にある昔ながらの公民館で、そんなに大きなスペースではありませんが、最初から最後まで満席状態で、みなさん興味津々にワタから種を取り出していました。

1つのコットンボールの中には5個前後の種があり、種とワタに分別していく。私たちも当初はこんな簡単すぎる作業でワークショップになるのか? と不安だったのですが、各々が独自に種取りのコツをあみ出したり、ワタを紡いで糸を作ったり、楽しんでいただけたようです。

普段洋服としては触れているのに、素材として触れることの少ないコットン。私たちも栽培している経験と、服作りをしている経験の両方から、サスティナブルな衣料用繊維についてお話をさせていただきました。

撒いた種は、きっと花が開く

参加者のほとんどの方はtennenのことをご存じなかったのですが、今回の種取りワークショップを通して、私たちは土に還る循環型の製品を作っていること、コットン衣料からリサイクルしたBOROという素材や、高機能な天然繊維に注力していることをご紹介することができました。

製品を送り出すメーカーやブランドの力だけでは、ファッション産業をサステナブルで循環型の産業に変えることはできません。今回のワークショップは、改めて伝えることの重要性に気付けた、とてもよい機会になりました。

いくら私たちが環境負荷が少なく、リサイクルできて、長く着用できる、着心地のよい服を作っても、着ていただける人がいなければ循環は生まれません。そのためにも、今後もユーザーのみなさんとの接点を作って、服の生まれる過程のこと、そして使われた後のことを一緒に考えていければと思っています。

今回のワークショップにご参加いただいたみなさんには、取っていただいたコットンの種をお持ち帰りいただきました。これをきっかけに、より天然繊維について深く知っていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

今後、お庭やプランターに植えられた種が芽を出し、花開き、そして綿花がとれる日を私たちも楽しみにしています。